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タヌキ親父の部屋

E130L パワーアンプ その2

 当ブログで最もページビューの多いE130L関連。今日はこのパワーアンプについてもう少し詳しく話したい。
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 長野県は松本にあるサウンドパーツが販売しているE130Lとは、真空管の名称で、その真空管の名前がそのまま製品名になっている。現在は「Love Three」と名前を変え、若干の変更が加えられている。出力トランスもE130Lのアモルファスからファインメット(最高級バージョン)へ変更されている。ファインメットといっても、市販されているファインメットとはクオリティが全く違うものなので早計な判断はしないようにしていただきたい。
 私の使用しているアモルファスの出力トランスは職人による手巻きで、当時日本に数名しかいないとされていた逸品であったが、17,8年前で77歳だったことを考えると、もう巻けなくなってしまったのかもしれない。ただ、ファインメットもとてもそれなりの手間が掛っているものなので甲乙付け難い。
 回路内容は2段構成の完全バランスプッシュプルである。現状のモノは完全バランスによる入力も可能だ。徹底的に無駄を省いたそのオリジナル回路は数個の発振防止のための抵抗とカソード抵抗、コンデンサは電源部を入れてもステレオで16個しか使われていない。ここまでシンプルなアンプは無いであろう。E130Lは1960年代のオーディオ用NOS管で、メーカーの保証は10,000時間である。これはWE(ウエスタンエレクトリック)の300Bと同等である。これを定格の80%(改良前は50%だった)で駆動している。セオリーで言えば倍近く持つ。1日3時間コンスタントに聞いて約18年は持つ計算だ。最近交換しているので、まだ15年以上は問題ない。ちなみにミニチュア管はE80CCである。これもメーカー保証で10,000時間は持つ。使用されている真空管は出力管4本、電圧増幅管2本(いずれもステレオで)の計6本である。これで、25W×25Wの出力をたたきだす。前にも当ブログで申し上げたが、十分すぎるくらいの出力だ。ハムノイズなどは100dbのスピーカーで聞いても気にならない。高出力半導体アンプのヒスノイズと比べても少ないだろう。

 シンプルな回路にはクオリティの高い部品が必要だ。100W以上のトランス類に抵抗はデールの無誘導メタルクラッド、フィルムコンデンサはインフィニキャップ(現状はミュージキャップ)スイッチはEAO、RCAインレットは真鍮削り出しである。ガレージメーカならではのこだわりである。いずれも信頼性と音質の高さは最善にして最良のものである。
 ちなみに、このアンプのように同じ出力管を購入する際、「マッチドペア」なるものを購入されるオーディオファイルは多いだろう。これは、プレート電流値のあったものを言っているのだが、使う電圧、出力トランスで変化してしまうものなので大した意味を持たない。このE130Lのアンプは出力トランスの抵抗値を利用して電流値がチェックできるようになっているので、本当の「ペア」が分かるのである。
 音質はとにかくナチュラルの一言に尽きる。広がり奥行きは申し分ない。自然な低域高域に加え、定位の安定性は“・・・らしさ”の究極である。アコースティックギターの繊細な響きは類を見ない。

 何度も言うことになるが、本当に良いものは大量生産できない。シンプルな回路であるが、制作段階で各所非常に手間暇かけて作られている。「モノ作り日本」を代表するものであるが、非常に価格が安いのである。ここは、非常に申し訳ないと思っているし、大変ありがたいことであると思っている。これも、日本の職人の良いところだ。

 本当に早い段階で良いものに巡り合えてよかった。
by omirabakesso | 2013-06-12 14:20 | オーディオ

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by omirabakesso

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